Marine Litter

なにかがみつかると いいですね。

製作者側から見たローグライクの魅力

はじめに

この記事はRoguelike Advent Calendar 2016の21日目の記事です。

www.adventar.org

投稿が遅くなってしまい申し訳ございません。

自己紹介

こんにちは。Kataと申します。
最近は表立った活動はしておりませんが、一応ゲーム制作者です。
もう既に1年以上前の話になりますが、一本道ローグライク(自称)の蒼明の塔というゲームと、明赤の塔(未完)というゲームを開発、リリースしました。

以上2つのゲームの詳しい説明については以下の窓の杜様が書いて下さった記事を読んでいただくのが良いと思いますので、以下にリンクを貼っておきます。

蒼明の塔 - 窓の杜ライブラリ

第598回:ローグライクの楽しさが凝縮された一本道RPG「明赤の塔」 - 週末ゲーム - 窓の杜

どちらのゲームも今見ると拙い点が多く、今自分で遊ぶとなると少し恥ずかしいところもあったのですが、久々にやってもなんだかんだ結構面白かったです。 よろしければ遊んでみて下さい。
なお、明赤の塔の完成版については申し訳ありません。現在はほぼ白紙状態となっているため、もうしばらくお待ち下さい。

さて、自己紹介はここまでにしておいて、本題に入ろうと思います。 今回登録してみたはいいものの何を書くか迷っていましたが、結局タイトル通り製作者視点から見たローグライクの魅力について自分なりに語ってみようかなと思います。

製作者側から見たローグライクの魅力

まず、自分がローグライクを制作しようと思ったきっかけですが、自分は当時SFC風来のシレンTM素潜りにハマっていました。
自分は今でもそのダンジョンがローグライクの完成形の一つであると思っているのですが、その緊張感をもっとシンプルに短時間で味わえるようなゲームを作れないものか、と思い立ったのがきっかけです。

そんな自分が他のジャンルのゲームを製作していた時との違いを感じたのは、基本的な部分のプログラムをある程度終え、難易度調整を兼ねたテストプレイを開始してからのことです。
ゲームを作ったことある人の中には共感して下さる方がいるかもしれませんが、繰り返しのテストプレイは結構飽きがきます。
普通のゲームでも数回遊べば飽きるのに、製作者は数十回と遊ぶことになるため、飽きてしまうのは無理のないことです。
これを阻止するために他の方に遊んでもらったり、一旦制作から離れてみたりすることも多いのですが、ローグライクのテストプレイは他のゲームと比べて全くもって飽きが来ませんでした。

自分はこの現象に、ローグライクの特徴の一つである「自動生成」が非常に強く関係していると考えています。
他のジャンルでは基本的に作者は仕様を全て把握しているため、テストプレイの中で製作者にとって想定外の物をもたらしてくれるのは非常に稀です。
しかし、ローグライクはこの自動生成という特徴によって、時に作者でさえ想定していなかったような状況を作り出すことがあるのです。
その上で例え作者であろうと誰であろうと平等にモンスターや罠が殺しにかかってくるので、どれだけ仕様に詳しくてもテストプレイを何度でも繰り返し飽きることなく続けることができるのです。
これは、ローグライクのような「自動生成」といったランダム要素を内包したゲームならではの物だと思います。

また、テストプレイを重ねる内に、製作者はそのゲームの腕が徐々に上達していきます。
この上達してしまうというのがゲーム製作においてはとても厄介で、自分の開発したゲームにおいても上達した製作者自身の腕に合わせて難易度が調整されてしまったために初めて遊んだ人がついていけず、良い評価を貰えなかったという事がよくありました。
いわゆる昔のファミコンソフト難しすぎ問題などがこの例にあたるわけですが、これもまたローグライクでは少し状況が変わってきます。

他のジャンルでは必ずしもユーザーの上達が必要とされませんが、ローグライクというジャンルでユーザーに技術の上達を要求します。
そして、ローグライクを好んで遊ぶ人々はその作者ですら苦しむ事が多々あるような高難易度を求めてプレイをするのです。
実際自分の開発したゲームにおいても、プレイ人口がそもそも少ないにも関わらず、製作者である自分の記録を大きく塗り替えてくださったユーザーがいました。
そういう意味では、ローグライクというジャンルは製作者とユーザー間の距離が非常に近いジャンルであると感じますし、ローグライクと呼ばれるゲームに高難易度にのものが多い事にも納得できます。

以上のことから分かるように、ローグライクというジャンルは割と製作者の好きに作る事が許されており、それが製作者側にとっての魅力だと思いました。

ローグライクを製作する上での課題

ローグライクにはその特殊性ゆえに解決が困難な大きな課題があります。

ゲームを製作する方は製作者である前に一人の創作者である以上、自分の作ったゲームをより多くの人々に遊んでもらいたいものだと思います。
その為、元々のターゲット層であるローグライカーの方々だけでなく、新規層やライト層の方々にも遊んでもらいたいと考えることはごく自然なことです。
ですが、ローグライクというジャンルでは、そのジャンルの持つ特殊性を保ちながらこの願望を実現する、ということが他のジャンルに比べて非常に困難であることが分かります。

例えば、そういった方々に遊んでいただくための解決策の一つとして、デスペナを和らげたり、クリアしたことにして先に進める、などといったある程度の救済措置を講じるといった物が考えられます。
他のジャンルでは自然と用いられるようなものですが、これらをローグライクに適用するとローグライクの持つ恒久的な死といった特徴を大きく損なうことになってしまいます。
となると、難易度変更の導入やチュートリアルの充実など、ゲームの根幹に関係ない部分での解決策が考えられる訳ですが、製作者側から考えるとローグライクは説明すべき点が非常に多く、これはこれで手間がかかって面倒です。
システム面から解決を図るか、それ以外の部分で解決を図るか……、市場に出ているゲームにも試行錯誤の跡が見られるように、製作者としてはとても難しい問題であることを実感しました。
とはいえ、自分の制作物のような個人開発のゲームにおいてはそもそも遊んでくださる層が狭いため、あまり関係の無いことなのかもしれません。経験則で言うならば、個人開発では製作者の好き勝手に作ったほうがウケると思います。

結論

ここまで色々と書いてきましたが、この記事の内容を一言で言うならばローグライクというジャンルは、遊ぶだけでなく作るのもとても面白いということです。
現在世の中にはローグライクと呼ばれるゲームが多数存在し、現在もなお増え続けています。
最近ではローグライクというよりローグの友達の友達みたいなゲームも多いですが、世の中にローグの遺伝子を継いだゲームが増えるのはとても良い事だと思います。
作っている側も非常に楽しんで開発ができるという特徴を持つこのローグライクというジャンル、皆さんも製作に挑戦してみてはいかがでしょうか。

次回予告

次回はkjirouさんの「Elonaをバニラで卒業してしまった人に贈るoomExのススメ」です。